「コウモリの目が日の光を見えづらくするように、私たちの魂の理性も、自然に最も明白なことを見ることを難しくする」

アリストテレス
アリストテレスの名言
  • 紀元前384年~紀元前322年
  • 古代ギリシャのマケドニア出身
  • 哲学者・科学者で学園「リュケイオン」の設立者
  • プラトンの弟子で、論理学、生物学、政治学、倫理学などにおいて体系的な知識を構築し、西洋の思想や科学の発展に大きな影響を与えた

英文

”For as the eyes of bats are to the blaze of day, so is the reason in our soul to the things which are by nature most evident of all.”

日本語訳

「コウモリの目が日の光を見えづらくするように、私たちの魂の理性も、自然に最も明白なことを見ることを難しくする」

解説

この言葉は、人間の理性が根本的な真実を完全には捉えられない限界についてアリストテレスが述べたものである。彼は、コウモリが昼間の明るい光を正確に見ることができないのと同様に、人間の理性も自然界の最も明白で根本的な真実に対して不十分であると考えた。これは、私たちの認識能力や理解力が制約されており、必ずしも全ての真実や根源的な事柄を明確に把握できるわけではないことを示唆している。

アリストテレスは、人間の理性の限界に対して謙虚であることを重視し、私たちが世界や宇宙の本質をすべて明確に理解することは難しいと考えた。真実そのものは明白であっても、私たちの知覚や認識がその明白さに追いつかないことがあり、また、それを十分に受け入れるための準備や知識が不十分な場合もある。アリストテレスは、物事の本質に迫るためには、理性や認識の限界を自覚しつつ知識を深める姿勢が必要であるとした。

具体例として、哲学や物理学などの根本的な問いが挙げられる。宇宙の起源や生命の本質、意識とは何かといったテーマは、最も明白でありながらも、理性だけで明瞭に理解するのは難しい。これらの問いに対する答えは存在するかもしれないが、それが「明白」であるとしても、私たちの認識能力を超えている場合がある。こうした根本的なテーマに向き合う際には、完全に理解しようとするのではなく、限界を認めつつ、少しでも深く探究しようとする謙虚さが重要である。

現代においても、アリストテレスのこの考えは、科学や哲学における謙虚な探求の姿勢として意義深い。科学技術が発展しても、解明されていない謎は数多く、完全な理解ができない未知の領域が存在することを認識することが重要である。理性の限界を知りながらも、真実に少しでも近づくために探求を続けることが、知識の進展と新たな発見を促す原動力になる。

アリストテレスのこの言葉は、人間の理性の限界と謙虚さの重要性を教えている。すべてを理解することは難しいが、理性の限界を受け入れることで、私たちは真実に対して謙虚であり続け、より深い洞察と理解を得ることができる。この姿勢は、知識の追求と自己成長において重要な基盤である。

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