「エライジャ・ムハンマド師は私たちに教えている。神はいま、この地上に兄弟愛と平和に基づく王国を築こうとしていると。そして白人は兄弟愛に反対し、白人は平和に反対しているのだ」
- 1925年5月19日～1965年2月21日（39歳没）
- アメリカ合衆国出身
- 黒人解放運動家、公民権活動家
英文
”The Honorable Elijah Muhammad teaches us that God, now, is about to establish a kingdom on this earth, based upon brotherhood and peace. And the white man is against brotherhood, and the white man is against peace.”
日本語訳
「エライジャ・ムハンマド師は私たちに教えている。神はいま、この地上に兄弟愛と平和に基づく王国を築こうとしていると。そして白人は兄弟愛に反対し、白人は平和に反対しているのだ」
解説
この言葉は、マルコム・Xがネイション・オブ・イスラム時代の思想を反映した発言である。彼は指導者エライジャ・ムハンマドの教えを引用し、神が地上に新しい秩序を築こうとしていると強調した。その秩序の柱は兄弟愛と平和であり、しかし白人社会はそれに敵対する存在として描かれている。
当時のネイション・オブ・イスラムは、白人を体系的に「悪」と位置づけ、黒人の自己完結的な共同体と宗教的自立を説いていた。マルコム・Xもその思想に基づき、白人社会を抑圧と暴力の象徴として批判した。この発言は、後年に彼がイスラム世界を実際に体験し、人種を超えた連帯を模索するようになる以前の段階を示すものである。
現代的視点から見ると、この言葉は一面的かつ過激に聞こえるが、背景にはアメリカにおける深刻な人種差別と暴力の現実があった。マルコム・Xの発言は、抑圧された人々が宗教的希望と共同体意識を通じて自らの尊厳を守ろうとする姿勢を示していると言える。
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