「アメリカの黒人は、数億もの非白人たちが自分に抱いている関心を理解していない。彼は彼らが自分に対して、また自分と共に抱いている兄弟愛の感情を理解していない」

• 1925年5月19日～1965年2月21日（39歳没）
• アメリカ合衆国出身
• 黒人解放運動家、公民権活動家

英文

”The American Negro has no conception of the hundreds of millions of other non-whites’ concern for him: he has no conception of their feeling of brotherhood for and with him.”

日本語訳

「アメリカの黒人は、数億もの非白人たちが自分に抱いている関心を理解していない。彼は彼らが自分に対して、また自分と共に抱いている兄弟愛の感情を理解していない」

解説

この言葉は、マルコム・Xが黒人解放運動の国際的連帯を強調した発言である。彼は、アメリカ国内で差別に苦しむ黒人が、自らを孤立した存在と捉えがちであることを指摘し、実際にはアフリカ、アジア、ラテンアメリカの数億の非白人が共感と兄弟愛を抱いていると説いた。つまり、黒人の闘争は世界的規模の反植民地主義・反人種差別運動の一部であるという認識である。

この発想は、1960年代の脱植民地化の波に強く影響されている。新たに独立したアフリカ諸国や第三世界の人々は、アメリカの黒人の闘争を自らの闘争と重ねて見ていた。マルコム・Xはその現実を指摘し、アメリカの黒人に自分たちの闘いが孤立していないことを自覚するよう促したのである。

現代においてもこの言葉は重要な意味を持つ。人種差別や社会的不平等は国境を越えて共有される問題であり、当事者はしばしば国際的な支援や共感に支えられている。マルコム・Xの言葉は、抑圧に対抗する闘争は世界的な兄弟愛によって結ばれているという視点を示すものである。

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