「権力は笑顔の前に退くことはないし、非暴力的で愛に満ちた行動の脅しの前に退くこともない。権力というものは、さらなる力の前にしか退く性質を持たない」
- 1925年5月19日～1965年2月21日（39歳没）
- アメリカ合衆国出身
- 黒人解放運動家、公民権活動家
英文
”Power doesn’t back up in the face of a smile, or in the face of a threat of some kind of nonviolent loving action. It’s not the nature of power to back up in the face of anything but some more power.”
日本語訳
「権力は笑顔の前に退くことはないし、非暴力的で愛に満ちた行動の脅しの前に退くこともない。権力というものは、さらなる力の前にしか退く性質を持たない」
解説
この言葉は、マルコム・Xが権力の本質を鋭く突いた見解を示している。彼は権力を持つ者が自発的に譲歩することはなく、道徳的な訴えや穏やかな抗議だけでは不十分だと考えた。彼にとって権力とは、力によってのみ制御される現実的な構造であった。
背景には、公民権運動における非暴力主義と急進的抵抗の対立がある。マルコム・Xはマーティン・ルーサー・キング・ジュニアらの非暴力運動を一定の敬意をもって見つつも、白人権力構造に対抗するにはより直接的で強硬な手段が必要だと主張した。彼の立場は、黒人社会に自己防衛の意識と闘争の覚悟を促すものであった。
現代においてもこの言葉は示唆的である。権力や不平等の問題は、しばしば対話や象徴的な行動だけでは解決しない。労働者の権利獲得のためのストライキ、国家政策に対抗する市民運動、国際社会での経済制裁など、実効的な圧力を伴わなければ変化は難しい。マルコム・Xの言葉は、正義を実現するためには理念だけでなく実際の力の行使が不可欠であることを教えている。
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