「道徳とは、私的で高価な贅沢品である」

- 1838年2月16日~1918年3月27日(80歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 歴史家、文筆家、政治評論家
英文
”Morality is a private and costly luxury.”
日本語訳
「道徳とは、私的で高価な贅沢品である」
解説
この名言は、道徳が決して安易に持ち得るものではなく、犠牲と孤独を伴う個人的な選択であることを鋭く指摘している。ヘンリー・アダムズはここで、道徳を単なる社会的規範や常識としてではなく、個人が自らの信念に従って選び取る、代償の大きい「贅沢品」と位置づけている。それは、社会の流れに迎合せず、時に損をしてでも信念を貫く姿勢であり、万人に等しく求められるものではないという現実認識が込められている。
この考え方は、アダムズが経験した政治や社会の偽善と妥協を背景にしている。彼は、公共の場で語られる「正義」や「道徳」がしばしば利害や権力によって歪められ、真に道徳的な行為はかえって疎外されることを観察していた。だからこそ、本物の道徳はあくまで個人の内面から発し、外部の評価とは無関係に選ばれるべきものであり、その選択は容易ではないと彼は語る。
現代においても、倫理的な決断はしばしば不利益を伴う。企業の内部告発、信条に基づく行動、社会的圧力への抵抗など、道徳的な選択は実際には「高くつく」ことが多い。この名言は、道徳が誰にでも与えられるものではなく、意志と覚悟を要する、希少で尊い行為であることを忘れてはならないという、冷静で力強い警句である。
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