「愛は、最高の奉仕だ。みじんも、自分の満足を思っては、いけない」

- 1909年6月19日~1948年6月13日(38歳没)
- 日本出身
- 小説家
原文
「愛は、最高の奉仕だ。みじんも、自分の満足を思っては、いけない」
解説
この言葉は、太宰治が愛の本質を「自己犠牲」や「奉仕」として捉えた鋭い洞察である。愛とは相手を支配したり、自らの欲望を満たすために用いるものではなく、無償の献身であると断言している。愛を与える行為そのものが価値であり、そこに自分の満足を求めてはならないという厳しい戒めが込められている。
太宰の生きた時代背景を考えると、この言葉は彼の自己否定的な思想や、人間関係における葛藤を反映している。昭和初期の社会では、家族制度や性別役割が強固に存在し、愛の名のもとに自己犠牲が強いられる場面も少なくなかった。太宰はその現実を逆説的に肯定しつつ、「愛とは徹底した奉仕である」という理想を突きつけることで、人間存在の矛盾を描き出したといえる。
現代においても、この言葉は重要な示唆を与える。恋愛や結婚、友情において、相手を思いやることは不可欠だが、自分の満足を優先する愛はやがて利己的なものとなり、関係を壊す。一方で、奉仕のみに偏り自己を失えば、共倒れを招く危険もある。太宰の言葉は、愛の純粋な形を示しながらも、その実現の難しさを現代人に考えさせる普遍的な真理である。
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