「恥じらいは若者にとっては美徳であるが、年長者にとっては非難の的である」

アリストテレスの名言・格言・警句(画像はイメージです)
アリストテレスの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 紀元前384年~紀元前322年
  • 古代ギリシャのマケドニア出身
  • 哲学者、科学者、学園「リュケイオン」設立者

英文

“Bashfulness is an ornament to youth, but a reproach to old age.”

日本語訳

「恥じらいは若者にとっては美徳であるが、年長者にとっては非難の的である」

解説

この言葉は、アリストテレスが『ニコマコス倫理学』において示した年齢に応じた徳のあり方を明確に表したものである。彼は、恥じらい(bashfulness)を一種の感情的制御として評価しつつも、それが年齢や成熟度に応じて異なる意味を持つことを理解していた。若者にとって恥じらいは、未熟さを自覚し、過ちを恐れる心の現れであり、将来の徳を備えるための訓練的徳として称賛された。

一方で、老年に達した者がなお恥じらいを持つというのは、判断力や節度、経験といった成熟した徳が十分に備わっていない証拠として否定的に見なされる。つまり、年長者にはすでに理性と徳を実践する能力が求められ、感情に左右されるべきではないという倫理的期待が課されている。恥じらいが感情に基づく「未完成な徳」である以上、完成された人格にはもはや不要であるという見解に基づいている。

現代においても、年齢に応じた行動や責任が期待される社会的規範は根強く存在している。この名言は、感情的徳が成長とともに理性的徳へと移行すべきであるというアリストテレスの発達的倫理観を示し、人間の成熟とは何か、年齢とともに求められる徳のかたちとは何かを考える上で、普遍的な視座を与えている。

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