「自己において必要であり、その必要性の原因が外部に存在せず、他のものに必要性をもたらす存在を置くことが必要である。そして、この存在をすべての人が神と呼ぶ」

トマス・アクィナス
トマス・アクィナスの名言
  • 1225年頃~1274年3月7日
  • シチリア王国(イタリア)出身
  • 神学者、哲学者
  • スコラ学の代表的存在であり、代表作『神学大全』を通じて、カトリック教会の教義と理性の関係を体系化した

英文

“It is necessary to posit something which is necessary of itself, and has no cause of its necessity outside of itself but is the cause of necessity in other things. And all people call this thing God.”

日本語訳

「自己において必要であり、その必要性の原因が外部に存在せず、他のものに必要性をもたらす存在を置くことが必要である。そして、この存在をすべての人が神と呼ぶ」

解説

この言葉は、アクィナスが神の存在と必然性について述べたものだ。彼は、宇宙のあらゆるものが原因と結果の連鎖によって存在していることから、その連鎖の外にある、自己存在し、他のすべてのものに存在の必要性を与える存在が必要であると考えた。その存在とは「神」であり、他のすべての原因の源であるとされる。これは、アクィナスの有名な「第一因の論証」に通じるもので、神を唯一の絶対的な必要存在とする哲学的な主張である。

この考えは、現代でも哲学や神学において宇宙の根源と存在理由を探るための重要な視点とされている。すべてが原因に依存するという考えに基づくと、その連鎖の最初の原因としての「神」の概念が浮かび上がる。アクィナスの論理は、物理的な世界の背後にある絶対的な存在についての考察を深めるための出発点として意義を持つ。

日常生活においても、この教えは存在の意味や根源について考えるきっかけを与える。たとえば、自分が何に依存して存在し、どのような原因と影響の連鎖の中にいるかを見つめることで、自分や世界についての理解が深まる。すべての現象や存在の根源を問い、その背後にあるものを考えることで、自己理解や人生の意義を見出す助けになる。

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