「敬意があるところには恐れがある。しかし恐れがあるすべての場所に敬意があるわけではない。なぜなら、恐れの方が敬意よりも広く及ぶと考えられるからである」

- 紀元前470年頃~紀元前399年
- 古代ギリシャのアテナイ(アテネ)出身
- 哲学者
英文
“Where there is reverence there is fear, but there is not reverence everywhere that there is fear, because fear presumably has a wider extension than reverence.”
日本語訳
「敬意があるところには恐れがある。しかし恐れがあるすべての場所に敬意があるわけではない。なぜなら、恐れの方が敬意よりも広く及ぶと考えられるからである」
解説
この言葉は、敬意と恐れの関係を哲学的に区別している。ソクラテスが述べたとされるこの言葉は、敬意にはある種の恐れが含まれているが、恐れが必ずしも敬意を伴うとは限らないという論理的な分析を提示する。ここでの「恐れ」は、相手の力や権威、影響力に対する感情を指し、「敬意」はそれに加えて道徳的あるいは精神的な価値を認める心の態度である。
ソクラテスは、感情や道徳的概念を定義し、言葉の意味を明確にすることで、真理への道を探るという対話的手法を用いた。この名言もその一例であり、人が何に恐れを感じ、何に敬意を持つかを区別することで、道徳的判断の精度を高めることが目的であったと考えられる。たとえば人は暴君を恐れるかもしれないが、そこに敬意があるとは限らない。
現代社会においても、恐れによる服従と敬意による尊重は異なるという視点は、教育やリーダーシップにおいて極めて重要である。ある教師や上司が厳しさによって恐れられていても、それが尊敬に結びついていなければ、本当の意味での信頼や徳の支配は成立しない。この言葉は、真に人を動かすのは恐れではなく、敬意であるべきという普遍的な倫理観を内包している。
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