「ある本は私たちを自由なままにしてくれるが、ある本は私たちを自由にしてくれる」

ラルフ・ワルド・エマーソンの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1803年5月25日~1882年4月27日
  • アメリカ合衆国出身
  • 哲学者、随筆家、詩人、超越主義運動の指導者

英文

“Some books leave us free and some books make us free.”

日本語訳

「ある本は私たちを自由なままにしてくれるが、ある本は私たちを自由にしてくれる」

解説

この名言は、読書という行為の二つの側面と、その影響の質の違いを鋭く捉えたものである。エマーソンは、すべての本が同等に価値あるものではないことを理解していた。「leave us free(私たちを自由なままにしてくれる)」というのは、読者に思索の自由を与えながらも、内面的な変化を促さない本を指す。それに対して「make us free(私たちを自由にしてくれる)」とは、精神の束縛を解き放ち、認識や人生観を根底から変えるような力を持つ本の存在を意味している。

この区別は、彼の読書観と知性観に基づいている。エマーソンにとって、本とは単なる知識の集積ではなく、読者の魂に火をつけ、自己変革を促すものこそが真に価値ある書物であった。真の読書体験とは、単に情報を受け取ることではなく、自由な精神と創造的な意志を解放することにある。読者が本によって変わるとき、その本は「make us free」となるのである。

現代においてこの名言は、教育、思想、表現の自由といった文脈でも響きを持つ。大量の情報に囲まれる現代社会では、単に選択の自由を提供するだけの本ではなく、思考を深め、世界の見方を変える力を持つ本こそが求められる。エマーソンのこの言葉は、真に価値ある読書とは、人間をより自由な存在へと導く営みであるという、普遍的かつ力強いメッセージを語っている。

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