「世界は破産状態にあると言われている。つまり、世界は世界に対して、支払いきれないほどの負債を負っているのだ」

ラルフ・ワルド・エマーソンの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1803年5月25日~1882年4月27日
  • アメリカ合衆国出身
  • 哲学者、随筆家、詩人、超越主義運動の指導者

英文

“It is said that the world is in a state of bankruptcy, that the world owes the world more than the world can pay.”

日本語訳

「世界は破産状態にあると言われている。つまり、世界は世界に対して、支払いきれないほどの負債を負っているのだ」

解説

この名言は、文明や社会が自らに課した責務や理想に応えきれず、精神的・道徳的に行き詰まっている状態を風刺的に表現したものである。エマーソンは、ここで経済的な「破産(bankruptcy)」という言葉を用いながらも、実際には倫理的・文化的・霊的な意味での負債と返済不能の矛盾を語っている。「世界が世界に負っている」という逆説は、人類が自ら掲げた理想や制度、発展の果実に対して責任を持てていない現実を指摘している。

この考えは、彼の超越主義における自然、精神、社会の調和の欠如という批判と一致する。エマーソンは、人間社会が物質的進歩や制度の整備に注力する一方で、本来果たすべき道徳的・精神的責任を果たしていないことを懸念していた。つまり、社会の構造や文明の仕組みが、もはや自分自身を維持する倫理的基盤を失っているという警告である。

現代においてこの名言は、環境破壊、経済的不均衡、社会的不正義といった多くの問題に通じる予言的警鐘として響く。人間が作り出した制度が、その理想を裏切り、自らを損なう構造になっている時、そこには「返済不能な負債」が生じている。エマーソンのこの言葉は、文明が存続するには、まず精神と倫理の再建が必要であるという、今なお有効な指針を示している。

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