「借金を抱えた人間は、それだけ奴隷である」

ラルフ・ワルド・エマーソンの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1803年5月25日~1882年4月27日
  • アメリカ合衆国出身
  • 哲学者、随筆家、詩人、超越主義運動の指導者

英文

“A man in debt is so far a slave.”

日本語訳

「借金を抱えた人間は、それだけ奴隷である」

解説

この名言は、負債が人間の自由を根本から制限することを簡潔に表現している。エマーソンは個人の精神的・道徳的自立を極めて重視していたが、借金はその自立を脅かすものと見なしていた。負債を抱える者は、債権者や金銭的義務に従わざるを得ず、思考・行動・決定の自由が奪われる。ここで言う「奴隷」とは、法的な意味ではなく、心理的・経済的拘束状態の比喩である。

19世紀のアメリカ社会では、商業の発展とともに信用経済やローン制度が拡大しつつあり、生活の中で借金が一般化しつつあった。エマーソンはそうした風潮に対し、物質主義や浪費の危険性を警告し、倹約と自律の精神を説いた。彼にとって、真の自由人とは、他者の助けや支配を必要とせずに生きることができる者であり、負債はその真逆に位置する。

現代においてもこの名言はきわめて示唆的である。クレジットカード、学生ローン、住宅ローンなど、借金に依存した生活が一般化している現代社会において、経済的独立は依然として重要な課題である。負債は見えない鎖となり、人生の選択肢を狭め、精神的な余裕や判断力を奪う要因となりうる。この言葉は、真の自由とはまず自分自身の経済的束縛からの解放であるという強い警告を含んでいる。

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