「事実を持っている人もいる——それは証明できる。理論を持っている人もいる——それは反証できる。だが意見を持っている人間は、思考を放棄し、それについてすでに考えを固めているのだ」

• 1947年11月14日～2022年2月15日（74歳没）
• アメリカ合衆国出身
• 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト

英文

”Some people have facts; these can be proven. Some people have theories; these can be disproven. But people with opinions are mindless and have their minds made up about it.”

日本語訳

「事実を持っている人もいる——それは証明できる。理論を持っている人もいる——それは反証できる。だが意見を持っている人間は、思考を放棄し、それについてすでに考えを固めているのだ」

解説

この名言は、現代社会における言論と知性の劣化に対する鋭い風刺である。P・J・オロークは、事実（facts）と理論（theories）は検証と論理の対象であり、知的対話の土台となり得ると認めたうえで、意見（opinions）に固執する人々は、すでに思考停止状態に陥っていると断じている。

特に「mindless（思考がない）」と「have their minds made up（考えをすでに固めている）」の間にある逆説的な構造が、この名言の皮肉を際立たせている。つまり、意見に固執する人ほど、実は考えていないという、現代のポピュリズムやSNS文化に通じる警告が込められている。

この名言は、理性的対話の成立がますます難しくなっている時代への嘆きと批判でもある。情報過多のなかで、事実よりも「思い込み」や「信念」に基づいた言説が力を持ちがちな現代において、オロークは知性と柔軟性の欠如がいかに深刻な問題かを、簡潔かつ痛烈なユーモアで突いているのである。

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