「今の医療費が高いと思うなら、それが無料になったときのことを想像してみるといい」

• 1947年11月14日～2022年2月15日（74歳没）
• アメリカ合衆国出身
• 政治風刺作家、ジャーナリスト、ユーモリスト

英文

“If you think health care is expensive now, just wait ‘til it’s free.”

日本語訳

「今の医療費が高いと思うなら、それが無料になったときのことを想像してみるといい」

解説

この言葉は、社会保障や政府主導の医療制度に対する皮肉と批判を込めた、P・J・オロークらしいユーモアと逆説的表現の一例である。表面的には「無料」と聞こえる政策でも、その裏には税金や非効率、制度的なコストが潜んでいるという警告が含まれている。

「just wait ‘til it’s free」という部分は、本来歓迎されるべき「無料化」が、むしろ高くつくこともあるという逆説を強調している。ここでの「expensive」は金銭的な負担だけでなく、待機時間の増加、サービスの質の低下、行政の非効率化などの「見えにくい代償」も含意している。つまり、コストは表に出ない形で必ずどこかに現れるという批評である。

現代における医療政策の議論――たとえば米国における公的医療保険制度の拡充を巡る争点――において、この言葉は自由市場と福祉国家の間にある緊張関係を鋭く突いている。善意に見える政策が実際には逆効果になる可能性を忘れるなという、政治的懐疑主義の姿勢を象徴する名言である。

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