「勝利に乗じて些細なことまで罪に問い、威勢を示そうとし、国の人々を家来のように見なして振る舞うことがあれば、その先に良い結果があるだろうか」

- 1147年5月9日~1199年2月9日(51歳没)
- 日本出身
- 武将、政治家、鎌倉幕府初代将軍
原文
「勝にのりて小事を科めて威をふるはんとし、国の者共をも所従などの様に思ひなして振舞ふ事あらば、後には能き事あらんや」
現代語訳
「勝利に乗じて些細なことまで罪に問い、威勢を示そうとし、国の人々を家来のように見なして振る舞うことがあれば、その先に良い結果があるだろうか」
出典
頼朝佐々木被下状
解説
この言葉が意図しているのは、権力を得た後の振る舞いこそが統治の成否を決めるという考え方である。勝利や成功に慢心し、威圧によって秩序を保とうとする姿勢は、一時的には支配を強めるように見えても、長期的には人心を失う。統治とは力を誇示することではなく、信頼を積み重ねる行為であるという価値観が、ここには示されている。
この言葉が発せられた背景には、武力によって支配を広げた後、いかに社会を安定させるかという切実な課題があった。源頼朝は、勝者が驕りによって民を抑え込もうとすれば、反発や離反を招くことを深く理解していた。そのため、勝利後の処罰や統治の在り方について、節度と慎重さを求める戒めとして、この言葉を残したと考えられる。
現代的に見ると、この言葉は自由と規律の関係を再考させる。権限を持つ者が規律を口実に過度な統制を行えば、組織や社会は萎縮し、主体性を失う。啓蒙思想が強調した法の下の平等や、勤労倫理における相互信頼の前提とも重なり、真の秩序とは恐怖による服従ではなく、納得と自律によって支えられるものであることを示している。
「源頼朝」の前後の引用
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