「良い教育、住宅、仕事は黒人にとって不可欠であり、私は彼らがそれらを勝ち取ろうとする闘いを支持する。しかし私は黒人たちに、これらは必要ではあるが、黒人の主要な問題を解決することはできないと伝えるだろう」
- 1925年5月19日～1965年2月21日（39歳没）
- アメリカ合衆国出身
- 黒人解放運動家、公民権活動家
英文
”Good education, housing and jobs are imperatives for the Negroes, and I shall support them in their fight to win these objectives, but I shall tell the Negroes that while these are necessary, they cannot solve the main Negro problem.”
日本語訳
「良い教育、住宅、仕事は黒人にとって不可欠であり、私は彼らがそれらを勝ち取ろうとする闘いを支持する。しかし私は黒人たちに、これらは必要ではあるが、黒人の主要な問題を解決することはできないと伝えるだろう」
解説
この言葉は、マルコム・Xが公民権運動期に提示した黒人解放の本質的課題を示している。彼は教育や住宅、雇用の改善といった社会的条件を否定するのではなく、それらは当然の権利であり追求すべきものと認めていた。しかし彼の視点では、これらの改善だけでは根本的な差別の構造を覆すことはできないと考えたのである。
背景には、1960年代のアメリカにおける黒人差別の深さがある。たとえ教育や雇用の機会が改善されても、制度的・文化的な人種差別が社会に組み込まれている限り、黒人が完全な平等を得ることは難しい。マルコム・Xはその核心を突き、単なる経済的格差の是正以上に、人種的尊厳と自己決定権の回復が不可欠であると訴えた。
現代においても、この視点は重要である。教育や雇用の格差是正が進んでも、差別意識や社会構造が変わらなければ問題は残る。例えば移民やマイノリティが直面する差別は、経済的成功だけでは解消されないことが多い。マルコム・Xの言葉は、社会改革において表層的な条件改善と深層的な意識改革の両立が必要であることを示している。
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