「統合が本当は何を意味するか知っているか。それは異人種間の結婚を意味するのだ。それが本当の狙いだ。異人種間の結婚なしに統合はあり得ない。そしてそれは両人種の崩壊をもたらすことになる」
- 1925年5月19日～1965年2月21日（39歳没）
- アメリカ合衆国出身
- 黒人解放運動家、公民権活動家
英文
”Do you know what integration really means? It means intermarriage. That’s the real point behind it. You can’t have it without intermarriage. And that would result in disintegration of both races.”
日本語訳
「統合が本当は何を意味するか知っているか。それは異人種間の結婚を意味するのだ。それが本当の狙いだ。異人種間の結婚なしに統合はあり得ない。そしてそれは両人種の崩壊をもたらすことになる」
解説
この言葉は、マルコム・Xが人種統合の本質を異人種間結婚の問題としてとらえた発言である。当時のアメリカ社会では、統合は単なる教育や公共施設の共有にとどまらず、やがて異人種間の結婚につながるものと考える人々が少なくなかった。マルコム・Xは、その点をあえて直截に指摘し、統合政策に対する白人社会の恐怖心を突いたのである。
この発言の背景には、1960年代の強い人種的緊張がある。多くの州では異人種間結婚がなお違法であり、統合そのものに激しい抵抗があった。マルコム・Xは、統合が進めば必然的に人種間の境界が曖昧になり、人種的アイデンティティの喪失につながると警告した。この立場は、彼が所属していたネイション・オブ・イスラムの思想を色濃く反映している。
現代の視点から見ると、この言葉は過激かつ排他的に響くが、当時のアメリカで統合が意味する社会的衝撃を理解する上で重要である。現在では異人種間結婚は一般的になり、人種間の交流は社会を豊かにするものと考えられているが、マルコム・Xの発言は、統合をめぐる恐怖と抵抗がどれほど深かったかを示す歴史的証言となっている。
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