「器を縁まで満たせばこぼれ、刃を研ぎ続ければ鈍くなる」

- 紀元前571年?~紀元前470年?
- 中国出身
- 哲学者
英文
“Fill your bowl to the brim and it will spill. Keep sharpening your knife and it will blunt.”
日本語訳
「器を縁まで満たせばこぼれ、刃を研ぎ続ければ鈍くなる」
解説
この言葉は、老子の思想における「過ぎたるは及ばざるが如し」の教訓を端的に示すものである。どれほど有益なことも、度を越えればかえって害を招く。器は適度に満たされるからこそ保たれ、刃も適度に研ぐからこそ鋭さを保つ。つまり、節度と中庸こそが持続と調和の鍵であるという道家の基本的な価値観がここに表れている。
老子は、極端な行動や欲望、完成への執着が自然の道(タオ)に反し、かえって崩壊や疲弊を招くと考えた。人間の行為においても、知識を求めすぎること、富を積みすぎること、力を誇りすぎることなどは、すべて道から外れる兆候であり、かえって不安定を招く原因となる。自然な限度をわきまえることが、最も賢明な生き方である。
現代においても、この教えは大いに通用する。効率や成果を求めて過剰に努力することが、かえって失敗や燃え尽きを招くことは珍しくない。老子のこの言葉は、控えめであること、節度を持つこと、やりすぎないことが、真の安定と持続的な成果を生むという静かな知恵を私たちに示している。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?
申し込む
0 Comments
最も古い