「かつて、アーミンの毛皮をまとったデザイナーたちがプルーストを読んでいた、あるいは読んでいるふりをしていた時代があった」

カール・ラガーフェルド(画像はイメージです)
  • 1933年9月10日~2019年2月19日(85歳没)
  • ドイツ出身
  • ファッションデザイナー、写真家、シャネルおよびフェンディのクリエイティブディレクター

英文

“There was a moment when designers draped in ermine would be reading Proust, or pretending to.”

日本語訳

「かつて、アーミンの毛皮をまとったデザイナーたちがプルーストを読んでいた、あるいは読んでいるふりをしていた時代があった」

出典

出典不詳(編集中)

解説

この言葉が示しているのは、文化的権威を装うことで自己の地位を正当化しようとする態度への皮肉である。高級な装いと高尚な文学を組み合わせることで、創造者は自分を単なる商業的存在ではなく、知的なエリートとして演出しようとする。しかしその読書が実体を伴わない場合、それは文化の消費であって思考の実践ではないという批判がここに込められているのである。

この感覚は、上流文化と大衆文化の境界が揺らぎ始めた二十世紀後半の文脈と結びついている。その中でカール・ラガーフェルドは、知的引用がしばしばステータスの小道具として使われることを見抜いていた。文学や芸術が内面を深めるためのものではなく、イメージの一部として利用される状況に対する冷ややかな距離感が、この言葉の背後にあるのである。

現代においてこの言葉は、啓蒙と消費の関係を問い直す。知識や教養が自己演出のアクセサリーになるとき、それは理性的判断の基盤ではなく、社会的な記号に変質する。自由な主体として生きるためには、文化を身につけるのではなく、それを通じてどのように考えるかを引き受けることが不可欠なのである。

「カール・ラガーフェルド」の前後の引用


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