「見たものを理解しなければならないと思うなら、我々の見える範囲はごくわずかにとどまるだろう」

ヘンリー・デイヴィッド・ソローの名言・格言・警句(画像はイメージです)
ヘンリー・デイヴィッド・ソローの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1817年7月12日~1862年5月6日
  • アメリカ合衆国出身
  • 作家、思想家、詩人、超越主義哲学者、自然と個人主義の擁護者

英文

“We shall see but a little way if we require to understand what we see.”

日本語訳

「見たものを理解しなければならないと思うなら、我々の見える範囲はごくわずかにとどまるだろう」

解説

この言葉は、知的理解への過度な依存が、かえって我々の認識の範囲を狭めてしまうという逆説的な思想を示している。ソローは、すべてを理詰めで解釈しようとする態度を批判し、直観や感受性によって世界と向き合う姿勢の重要性を強調している。「require to understand(理解しなければならないと求める)」という前提が、見るという行為に不自由をもたらすというのが、この名言の核心である。

これは、自然や人生を前にしたとき、ただ感じること、受け取ることの価値を見失ってはならないというソローの自然観とも一致している。彼は、『ウォールデン』においても、自然の本質は論理ではなく経験によってのみ把握されるとし、理性による解釈を超えた「見ること」の力を大切にした。深い理解は、時として無心の観察や沈黙のうちに芽生えるものであり、理性に頼りすぎるとその機会を失うという警告が込められている。

現代においても、情報や知識を詰め込む教育や社会構造の中で、「理解しようとしすぎて、見ること自体ができなくなる」という現象は起こりうる。この名言は、すべてを解釈するのではなく、時にはただ「見る」ことの大切さを思い出させてくれる。ソローは、世界を深く見るとは、まずはその神秘に身を委ねることであると教えているのである。

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