「私たちは皆、彫刻家であり画家であり、その素材は自らの肉と血と骨である。高貴な心はただちに人の顔立ちを洗練させ、卑しさや肉欲はそれを野獣のようにする」

- 1817年7月12日~1862年5月6日
- アメリカ合衆国出身
- 作家、思想家、詩人、超越主義哲学者、自然と個人主義の擁護者
英文
“We are all sculptors and painters, and our material is our own flesh and blood and bones. Any nobleness begins at once to refine a man’s features, any meanness or sensuality to imbrute them.”
日本語訳
「私たちは皆、彫刻家であり画家であり、その素材は自らの肉と血と骨である。高貴な心はただちに人の顔立ちを洗練させ、卑しさや肉欲はそれを野獣のようにする」
解説
この言葉は、人間の内面が外見や身体にも影響を与えるという思想を表現している。ソローは、人格や精神のあり方が、単に目に見えないものにとどまらず、顔つきや身体の雰囲気といった目に見える「形」までも形成すると考えている。つまり、人間は日々の選択や精神的態度によって、自らを素材とした彫刻を絶えず刻み続けている存在だというのである。
この思想には、倫理と美、精神と身体の統一性を重んじるソローの自然主義的・人間主義的哲学が反映されている。彼は、どのような人生を送るかという問いが、単なる内面の問題にとどまらず、その人の全体的な「形」として外部に現れるものだと信じていた。この名言は、美しさとは装飾ではなく、人間の生き方から自然とにじみ出るものだという深い真理を語っている。
現代社会では、外見の美醜がしばしば生まれつきや流行に左右されるが、この言葉はそれに対して「美は人格から形成される」という倫理的な美意識の再確認を促している。善良さや高潔さは顔ににじみ出て、人を優しくし、反対に卑しさや欲望にとらわれれば、それがその人を「野蛮に」変えていく。ソローは、私たちの存在そのものが一つの芸術作品であるという厳粛でありながら希望に満ちた視点を与えているのである。
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