「いわゆるニュースというものは、哲学者にとってはすべて噂話にすぎず、それを編集し読んでいる者たちは、茶をすすりながらおしゃべりする老婆たちである」

- 1817年7月12日~1862年5月6日
- アメリカ合衆国出身
- 作家、思想家、詩人、超越主義哲学者、自然と個人主義の擁護者
英文
“To a philosopher all news, as it is called, is gossip, and they who edit and read it are old women over their tea.”
日本語訳
「いわゆるニュースというものは、哲学者にとってはすべて噂話にすぎず、それを編集し読んでいる者たちは、茶をすすりながらおしゃべりする老婆たちである」
解説
この言葉は、日々のニュースや報道の多くが本質を欠き、思索や真理の探究とは無縁であるという、ソローの痛烈な批評を表している。「哲学者(a philosopher)」の視点から見れば、報道とされるものの大半は、単なる表層的な情報や世俗的な噂の延長にすぎないというわけである。「old women over their tea」という比喩は、意図的に風刺的であり、うわさ話に興じるだけの非本質的な関心を象徴している。
この考え方は、ソローの根源的な関心――自然、道徳、精神の内省的探求――と深く関係している。彼は『ウォールデン』において、世間の出来事に一喜一憂するよりも、自己の内面や自然界とのつながりに目を向けるべきだと主張した。つまり、ニュースがもたらす「即時性」や「話題性」は、人生の本質的な問題に比べてはるかに軽薄であるというのが、彼の主張である。
現代においても、情報過多やメディアの表層化が問題となる中、この言葉は、私たちが何に注意を払い、何を「重要」と見なすかを問い直す鋭い視点を与えてくれる。ソローは、真の知とは、一過性の出来事ではなく、変わらぬ本質への洞察に宿ると考えており、世間の騒がしさから距離を取り、静かな思索の中に真理を求めよと促しているのである。
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