「この世で最も大きな害をなすのは、いつも善人である」

- 1838年2月16日~1918年3月27日(80歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 歴史家、文筆家、政治評論家
英文
”It is always good men who do the most harm in the world.”
日本語訳
「この世で最も大きな害をなすのは、いつも善人である」
解説
この名言は、道徳的に「善」とされる人々の行為が、しばしば深刻な結果をもたらすという逆説的な洞察である。ヘンリー・アダムズはここで、「善人」とは通常、高い理想や使命感をもって行動する者を指すが、その信念ゆえに自らの行為がもたらす副作用や他者への影響を顧みない危うさがあると警告している。つまり、意図の純粋さと結果の破壊性は必ずしも一致しないという現実を突いている。
この考えは、アダムズが歴史家として数々の政治家や宗教的改革者を観察してきた中で培われたものである。彼は、自己の正義感に突き動かされる者ほど、妥協せず、極端な手段に走りやすいことを理解していた。十字軍、宗教改革、革命運動、教育制度など、「善」の名のもとに遂行された行為が引き起こした悲劇は歴史上数多く存在する。
現代においても、信念や理想を掲げたリーダーや運動が、意図せぬ混乱や対立を招く例は後を絶たない。この名言は、善意そのものを否定するのではなく、それがもたらす力と危険性を冷静に見つめよという知的警句である。アダムズはここで、人間の行為を評価するには「意図」だけでなく、「結果」や「方法」も含めて考える必要があるという、深い倫理的洞察を提示している。
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