「権力を持った友は、もはや失われた友である」

- 1838年2月16日~1918年3月27日(80歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 歴史家、文筆家、政治評論家
英文
”A friend in power is a friend lost.”
日本語訳
「権力を持った友は、もはや失われた友である」
解説
この名言は、権力が人間関係を変質させることへの深い懐疑を表現している。ヘンリー・アダムズは、かつて親しかった友人が権力の座に就くことで、対等な友情が崩れ去り、距離と利害に支配された関係へと変わることを鋭く見抜いている。権力とはそれほどまでに、人の言動や判断、周囲の接し方を変えてしまう強力な要素である。
この言葉には、アダムズ自身の実体験も反映されている。彼は政治家の家系に生まれ、多くの高官や知識人と関わっていたが、政治的立場の変化によって信頼や親密さが失われる過程を幾度となく目にしてきた。「friend in power」という表現には、公的な立場と私的な感情が両立しえない現実への諦念がにじんでいる。
現代においても、ビジネスや政治の世界で立場の違いが友情に影を落とす例は数多い。上司や有力者になった友人との関係は、かつての自由で対等なものとは異なり、利害や遠慮、誤解が入り込みやすくなる。この名言は、権力という装置が人間関係の純粋性を試すという現実を突きつけ、私たちに慎重な人間観察と心の備えを促すものである。
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