「自然でないものからは、何ひとつ善は生まれない」

フリードリヒ・フォン・シラー(画像はイメージです)
フリードリヒ・フォン・シラー(画像はイメージです)
  • 1759年11月10日~1805年5月9日(45歳没)
  • ドイツ出身
  • 劇作家、詩人、歴史家、哲学者

英文

“Nothing leads to good that is not natural.”

日本語訳

「自然でないものからは、何ひとつ善は生まれない」

解説

この言葉は、善なるものの根源はつねに「自然」にあり、人為的で作為に満ちたものからは真の善は導かれないという、シラーの倫理的・美学的信念を端的に表したものである。ここでの「自然」とは、単なる生物的自然ではなく、人間本性に根ざした素直さ・調和・自由といった内的な在り方を指している。

18世紀末の啓蒙思想やロマン主義において、「自然」はしばしば理性や道徳、芸術と深く結びつけられた概念であった。シラーもまた、人間の感情と理性が自然のうちに調和することで、美や善が成立すると考えた。外的な権威、強制、計算づくの行動は、一見正しく見えても、真の善には至らないという哲学的洞察がここにある。

現代社会においては、制度、効率、操作といった「不自然な」力が、しばしば善を装って人間に影響を与えている。この名言は、人間の内から自然に湧き上がる善意、共感、誠実さといったものこそが、本物の善に通じるという本質的な価値観を再確認させる。善とは押しつけられるものではなく、自然に現れるべきものであるというこの言葉は、倫理と美における自由と調和を重んじるシラーらしい警句である。

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