「湧き出るアイデアを知性があまりに綿密に吟味すると、心の創造的な働きが妨げられる」

フリードリヒ・フォン・シラー(画像はイメージです)
フリードリヒ・フォン・シラー(画像はイメージです)
  • 1759年11月10日~1805年5月9日(45歳没)
  • ドイツ出身
  • 劇作家、詩人、歴史家、哲学者

英文

“It hinders the creative work of the mind if the intellect examines too closely the ideas as they pour in.”

日本語訳

「湧き出るアイデアを知性があまりに綿密に吟味すると、心の創造的な働きが妨げられる」

解説

この言葉は、創造の初期段階では自由な発想の流れを妨げず、批判的思考は後に回すべきだという、創作過程における精神の使い分けを説いている。シラーは詩人であり哲学者でもあったが、この名言では「創造(想像力)」と「知性(理性)」という二つの心的機能の関係性を繊細に捉えている。理性の過剰な介入は、アイデアの芽を摘んでしまうという警告である。

この考えは、後に心理学者カール・グスタフ・ユングや創造性研究においても重要な指針となった「生成と評価の分離」の原則と共鳴する。シラー自身、『人間の美的教育についての書簡』の中で、感性の自由と理性の秩序をどう調和させるかを大きなテーマとして扱っていた。この名言は、創造の場面ではまず感性に従い、後から理性で整えるべきだという実践的な知恵を表している。

現代においても、執筆・芸術・企画・研究など、あらゆる創造的活動において、「完璧にしようとする意識」が発想の妨げになるという問題は普遍的である。この名言は、自由な流れの中でまず生まれるアイデアを受け入れ、その後に評価・整理するという二段階の姿勢を保つことが、創造力を最大限に活かす鍵であると教えてくれる。創造はまず「感じること」から始まり、「考えること」はそのあとに来る。

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