「人は多くを知るよりも、多くを考えるよう努めるべきである」

デモクリトス(画像はイメージです)
デモクリトス(画像はイメージです)
  • 紀元前460年頃~紀元前370年頃
  • 古代ギリシャ出身
  • 哲学者、自然哲学者、「原子論の提唱者」

英文

“Men should strive to think much and know little.”

日本語訳

「人は多くを知るよりも、多くを考えるよう努めるべきである」

解説

この言葉は、知識の量よりも思考の質が重要であるという知的姿勢を強調している。デモクリトスは、単に情報を蓄積することよりも、それを深く考察し、意味づける能力こそが人間の本質的な知性であると捉えていた。多くを知るが浅く、考えない人間よりも、少ない知識でも深く考える人間の方が賢明であるという哲学的立場が反映されている。

この思想は、古代哲学における「ソフィスト的な知識の誇示」への批判とも読み取れる。知識を装飾のように扱う者たちとは異なり、デモクリトスは思索によって本質を見抜く能力――すなわち知恵(ソフィア)――の重要性を説いた。これは後のソクラテスやプラトンの思想にも通じる、「知ること」よりも「考えること」に価値を置く伝統の一環である。

現代においても、情報が過剰に流通する時代において、思考なき知識の危険性がしばしば指摘される。AIや検索エンジンによって容易に情報が得られる一方で、その意味を深く咀嚼し、批判的に吟味する力が求められている。この名言は、「知識の受け手」で終わるのではなく、「考える主体」としての人間の姿勢を呼び覚ますものであり、今もなお思索の指針として響く。

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