「不正な利益を望むことは、損失の始まりである」

• 紀元前460年頃～紀元前370年頃
• 古代ギリシャ出身
• 哲学者、自然哲学者、「原子論の提唱者」

英文

“Hope of ill gain is the beginning of loss.”

日本語訳

「不正な利益を望むことは、損失の始まりである」

解説

この言葉は、不正によって得られる利益への欲望が、結局は破滅への第一歩となることを警告している。デモクリトスは、正義と節度に基づく生き方を重視し、不道徳な手段で得たものには必ず代償が伴うという倫理観を持っていた。邪な動機に基づく希望は、外見上の成功に見えても内実は腐敗しており、やがて損失や災いを招くという哲学的洞察が込められている。

古代ギリシア哲学では、行為の結果だけでなく、その動機や性質が善であることが重視された。デモクリトスもまた、短期的な得失よりも、長期的な魂の安寧や徳の保持を価値あるものとみなした。この言葉は、利得を求める際の倫理的判断の重要性を訴え、不正な期待そのものが失敗の種であるという警句となっている。

現代においても、インサイダー取引や詐欺、脱税などの例に見られるように、不当な利益への希望がしばしば社会的信用や法的責任という形での損失につながる。この名言は、利益の質を問う倫理的視点を私たちに提供し、正当な手段と誠実な努力こそが持続可能な成功につながるという普遍的な教訓を与えている。

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