芥川龍之介 「僕は象を『可愛いと思うもの』にし、雲を『美しいと思うもの』にした。それは僕には真実だった。が、僕の答案はあいにく先生には気に入らなかった。『雲などはどこが美しい?象もただ大きいばかりじゃないか?』。先生はこうたしなめた後、僕の答案へ×印をつけた」
芥川龍之介 「僕は一円の金を貰い、本屋へ本を買いに出かけると、なぜか一円の本を買ったことはなかった。しかし一円出しさえすれば、僕の欲しいと思う本は手にはいるのに違いなかった。僕はたびたび七十銭か八十銭の本を持って来た後、その本を買ったことを後悔していた。それはもちろん...