「節制とは、快楽に関して中庸を保つことである」

- 紀元前384年~紀元前322年
- 古代ギリシャのマケドニア出身
- 哲学者、科学者、学園「リュケイオン」設立者
英文
“Temperance is a mean with regard to pleasures.”
日本語訳
「節制とは、快楽に関して中庸を保つことである」
解説
この言葉は、アリストテレスが『ニコマコス倫理学』において提示した中庸(メソテース)の徳論の一環として語られている。彼は、徳とは過剰と不足という二つの極端な状態の間にある適切な均衡状態であると定義し、その典型的な例として節制を挙げた。節制は快楽を完全に否定するのではなく、理性によって適切な範囲に抑えることによって成立する徳である。
アリストテレスによれば、快楽は自然な欲求に基づくものであり、それ自体が悪ではない。しかし、それに支配されてしまうと、人間の理性が損なわれ、行動が破綻する。ゆえに節制とは、快楽を適切に評価し、それを理性的に選び取る能力である。これは、欲望を抑圧する禁欲主義とも、無制限に追求する快楽主義とも異なる、徳ある中道の姿勢である。
現代社会においては、消費主義や即時的満足が溢れる中で、節制の価値が見直されている。たとえば、食・性・娯楽といった分野での自己制御は、心身の健康や社会的信頼の基盤となる。この名言は、理性によって欲望を導くことこそが人間としての完成に近づく道であるというアリストテレスの倫理観を、今なお有効な人生の原則として伝えている。
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