「人間は唯一、理性を備えた動物である。他の多くの動物も記憶と学習の能力は人間と共通して持っているが、それでもなお理性を有するのは人間だけである」

- 紀元前384年~紀元前322年
- 古代ギリシャのマケドニア出身
- 哲学者、科学者、学園「リュケイオン」設立者
英文
“Man is the only animal capable of reasoning, though many others possess the faculty of memory and instruction in common with him.”
日本語訳
「人間は唯一、理性を備えた動物である。他の多くの動物も記憶と学習の能力は人間と共通して持っているが、それでもなお理性を有するのは人間だけである」
解説
この言葉は、アリストテレスが『政治学』や『霊魂論』において展開した人間の本質的な特性としての理性の優位性を明確に示している。彼は、人間と他の動物との違いを段階的に捉え、感覚・記憶・経験・学習などは多くの動物にも共有されるが、唯一理性(ロゴス)を持つのは人間だけとした。この理性こそが、倫理・政治・芸術・哲学といった人間的営為を可能にする根源である。
記憶や学習は行動の反復や適応を可能にするが、理性は「なぜそうすべきか」を理解し、判断し、目的に向かって選択を導く能力である。アリストテレスにとって、理性を用いて善を知り、それを選び取ることができる存在という点において、人間は自然の中で特別な地位を占めている。そして、この理性こそが、人間を道徳的・政治的存在たらしめる根拠とされた。
この名言は、現代においても人間の倫理的・社会的責任の基礎として大きな意味を持つ。人工知能や動物認知科学が進展するなかでも、自己を反省し、抽象的思考を行い、共通善を追求できる存在としての人間の特異性を問い直す契機となる。アリストテレスのこの洞察は、人間らしさの根幹にある「理性」の力と意義を鮮やかに伝えている。
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