「社会の中で生きることができない者、あるいはそれを必要としないほどに自足している者は、野獣か神でなければならない」

アリストテレスの名言・格言・警句(画像はイメージです)
アリストテレスの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 紀元前384年~紀元前322年
  • 古代ギリシャのマケドニア出身
  • 哲学者、科学者、学園「リュケイオン」設立者

英文

“He who is unable to live in society, or who has no need because he is sufficient for himself, must be either a beast or a god.”

日本語訳

「社会の中で生きることができない者、あるいはそれを必要としないほどに自足している者は、野獣か神でなければならない」

解説

この言葉は、アリストテレスが『政治学』で明確にした人間の本質的な社会性を表す名句である。彼は、人間は「ポリス的動物(ゾーオン・ポリティコン)」であり、自然本性として共同体に生きるよう定められていると考えた。したがって、社会に属さずに生きる者は、人間の定義から逸脱した存在であり、それは本能だけで生きる野獣か、完全に自立した神的存在であるとされた。

ここでの「野獣」とは、本能と孤立によって動く存在であり、「神」は理性と完全性によって他者を必要としない存在を意味する。アリストテレスにとって、人間が善く生きるためには、他者との関係と共同体の中での徳の実践が不可欠であり、社会から切り離された生は人間的完成を欠いた不完全なものである。

現代においても、個人主義や孤独の問題が顕著となる中で、人間関係や社会参加の意義が再び問い直されている。この名言は、人間とは本質的に関係性の中で徳を育み、自己を実現する存在であるというアリストテレスの洞察を示し、共同体とのつながりが人間性の核心であることを鋭く教えている。

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