「一羽のつばめが夏をもたらすのではないように、一日だけで人を幸福で祝福された者にすることもできない」

- 紀元前384年~紀元前322年
- 古代ギリシャのマケドニア出身
- 哲学者、科学者、学園「リュケイオン」設立者
英文
“For one swallow does not make a summer, nor does one day; and so too one day, or a short time, does not make a man blessed and happy.”
日本語訳
「一羽のつばめが夏をもたらすのではないように、一日だけで人を幸福で祝福された者にすることもできない」
解説
この名言はアリストテレスの『ニコマコス倫理学』に由来し、幸福(エウダイモニア)の本質とその持続性について述べたものである。彼にとって幸福とは一時的な快楽や幸運ではなく、徳に基づいた生き方を長く持続することによって得られる状態である。すなわち、幸福は一日や一時の出来事によって達成されるものではなく、一生を通じての行為と習慣の積み重ねにより実現される。
つばめのたとえは、ギリシャ的自然観の中でよく用いられる比喩であり、部分から全体を安易に判断してはならないという教訓を含んでいる。同様に、一時的に成功したり、快楽を得たりしても、それが人を「幸福な者」と言える根拠にはならない。真の幸福とは、徳ある生を一貫して生き抜いた結果としてのみ評価されるべきものである。
現代社会においても、短期的成果や瞬間的な快楽が幸福の指標とされがちだが、この名言は本当の幸福とは長期的視点と人格的成熟のうちにこそあるという古典的かつ普遍的な真理を語っている。アリストテレスは、幸福を「行為の状態」として捉え、単なる感情ではなく、人生の構造と方向性そのものであると明確に位置づけていた。
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