「宝くじのすべての券に手を出せば、必ず損をする。そして券の数が増えれば増えるほど、その確実性に一層近づくのである」

- 1723年6月5日~1790年7月17日(67歳没)
- スコットランド出身
- 経済学者、哲学者、「古典派経済学の父」
英文
“Adventure upon all the tickets in the lottery, and you lose for certain; and the greater the number of your tickets the nearer your approach to this certainty.”
日本語訳
「宝くじのすべての券に手を出せば、必ず損をする。そして券の数が増えれば増えるほど、その確実性に一層近づくのである」
解説
この言葉はアダム・スミスが投機や賭博の非合理性について述べたものである。彼は、宝くじのような制度は一見大きな利益を夢見させるが、数学的期待値に基づけば必ず損をする仕組みになっていると指摘した。すなわち、参加者が多くの券を購入すればするほど、統計的に損失の確実性は高まるという経済学的洞察である。
当時のイギリスでは国家や自治体の財源確保のために宝くじが盛んに用いられていた。スミスはこれを批判的に捉え、庶民が富を得るどころか、錯覚によって貧困に陥る危険を警告した。彼の主張は、人間の非合理的な期待や欲望に対して、理性と計算による冷静な判断を促すものであった。
現代においても、この洞察は有効である。カジノや宝くじ、過度な金融投機などは、一部の勝者を生む一方で多数の敗者を出す仕組みを持つ。スミスの言葉は、短期的な夢や偶然に頼るのではなく、堅実な労働や投資が富を築く基盤であるという普遍的な警告として響いている。
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