「寂しい墓地の傍らの荘厳な墓に向かって、私の心は消音された太鼓のように葬送の行進を打ち鳴らしている」

- 1821年4月9日~1867年8月31日(46歳没)
- フランス出身
- 詩人、評論家、「近代象徴詩の先駆者」
英文
“To the solemn graves, near a lonely cemetery, my heart like a muffled drum is beating funeral marches.”
日本語訳
「寂しい墓地の傍らの荘厳な墓に向かって、私の心は消音された太鼓のように葬送の行進を打ち鳴らしている」
解説
この言葉は、死と哀悼の情を音楽的比喩によって表現している。心臓の鼓動を「消音された太鼓」とし、それを葬送の行進曲になぞらえることで、死者への沈痛な思いと内面的な悲哀を同時に描いている。ボードレールはしばしば、死と音楽を結びつける象徴的イメージを用い、感情の深淵を表現した。
この発想の背景には、19世紀ヨーロッパにおける死への強い意識とロマン主義的感性がある。死は終焉であると同時に、美や詩のインスピレーションを呼び起こす契機でもあった。墓地や葬送の情景は、彼の詩の中で繰り返し登場する象徴的な舞台であり、人間存在のはかなさを浮き彫りにする。
現代的に読むと、この言葉は内なる悲しみの表現として響く。愛する者の死や失われた過去を思うとき、心臓の鼓動さえも哀悼のリズムを刻むように感じられる。ボードレールの比喩は、死と生を隔てる境界における人間の普遍的な感情を、美しい言葉で刻み込んでいるのである。
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