「どんな物事に対しても、好き嫌いで判断することはしない」

• 1584年頃～1645年6月13日
• 日本出身
• 剣豪、兵法家、芸術家

原文

「物毎にすきこのむ事なし」

現代語訳

「どんな物事に対しても、好き嫌いで判断することはしない」

出典

出典不詳（編集中）

解説

この言葉は『独行道』に記された宮本武蔵の戒めであり、物事の価値を私的な感情ではなく理と道に基づいて判断する姿勢を表している。「物毎にすきこのむ」とは、あらゆることに対して好き嫌いを持つという意味であり、それを「なし」と否定することで、主観的な感情に左右されず、冷静かつ中立的に物事を見ることの重要性が説かれている。

武蔵は兵法の道を極める中で、個人的な好悪にとらわれることが戦術判断や精神統一の妨げになることを熟知していた。たとえば、武器の種類や対戦相手、状況に対して偏見を持てば、柔軟な思考や正確な対応ができなくなる。だからこそ、一切の感情を排し、事理に即して判断する態度を鍛錬し続けたのである。この徹底した心構えが、彼を不敗の兵法者たらしめた。

現代においても、感情によって物事を評価することは多く見られるが、判断や選択において個人的な好悪を抑え、客観的な視点を持つことは、職場・人間関係・意思決定のすべてにおいて重要である。武蔵のこの言葉は、感情ではなく理性と目的意識に基づいて行動する生き方の価値を、静かにかつ力強く伝えている。

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