「青年たちは、むきになっては何も言えない。ことに本音を、笑いでごまかす」

- 1909年6月19日~1948年6月13日(38歳没)
- 日本出身
- 小説家
原文
「青年たちは、むきになっては何も言えない。ことに本音を、笑いでごまかす」
解説
この言葉は、太宰治が青年特有の不器用な自己表現を描き出したものである。青年は感情が激しく、本音を語りたい衝動を抱えながらも、素直に表すことができない。むきになると沈黙し、あるいは笑いでごまかしてしまうという姿は、太宰が見抜いた若者の心理の核心である。
昭和初期の青年文化は、理想や思想に熱中しつつも、社会的には未熟で不安定な立場にあった。太宰はその中で、若者が本音を隠し、虚勢や軽口に逃げる姿を観察した。彼自身の青春時代にも、仲間との交流の中で率直になれず、笑いや皮肉を防衛手段とした経験が色濃く反映されている。
現代においても、この言葉は普遍的な真理を持つ。若者は人間関係や恋愛、友情において本心をさらけ出すことを恐れ、冗談や笑いに包んで伝えることが多い。SNSや日常会話でも、本音は直接言われず、ユーモアや軽い言葉に置き換えられる。太宰のこの観察は、青年期の脆さと同時に、その不器用さが人間らしい魅力でもあることを示しているのである。
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