「善良な人間は、法をあまりにも忠実に守ってはならない」

- 1803年5月25日~1882年4月27日
- アメリカ合衆国出身
- 哲学者、随筆家、詩人、超越主義運動の指導者
英文
“Good men must not obey the laws too well.”
日本語訳
「善良な人間は、法をあまりにも忠実に守ってはならない」
解説
この名言は、道徳と法律の関係性に対する根源的な問いを投げかけている。エマーソンは、法が常に正義を体現するものではないことを前提に、良心と個人の倫理的判断こそが最終的な指針であるべきだと主張している。「too well(あまりにも忠実に)」という表現が示すのは、盲目的服従がもたらす危険性であり、善良さとはむしろ時に法を越える判断を下せる力であるという逆説的な倫理観である。
この思想は、彼の代表的エッセイ『自己信頼(Self-Reliance)』や、彼と同時代の思想家ヘンリー・デイヴィッド・ソローの市民的不服従の理念とも深く通じている。エマーソンにとって、国家の法や制度は変化するものであり、普遍的な正義とは一致しない可能性がある。そのため、良識ある個人は時に法に抗い、真の道徳に従わなければならないとする。
現代においてもこの言葉は、社会的不正義や制度の欠陥に対して声を上げる市民の姿勢と響き合う。歴史上、奴隷制度や人種差別、戦争への加担など、「合法」であっても「正義」でない事例は数多く存在する。エマーソンのこの名言は、良心に基づいた行動の重要性を鋭く問いかけ、人間の尊厳と自由を守るために必要な倫理的勇気を促している。
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