「誠実な言葉は巧みではなく、巧みな言葉は誠実ではない」

- 紀元前571年?~紀元前470年?
- 中国出身
- 哲学者
英文
“Sincere words are not fine; fine words are not sincere.”
日本語訳
「誠実な言葉は巧みではなく、巧みな言葉は誠実ではない」
解説
この言葉は、老子の言葉に対する根源的な疑念と、誠実さを重んじる姿勢を示している。老子は、真に心から出た言葉は飾り気がなく素朴であると考えた。逆に、耳あたりの良い言葉や巧妙な修辞には、しばしば虚偽や欺瞞が潜む。ここでは、内容よりも表現を優先することの危うさが批判されている。
老子の哲学では、「道」は言葉で完全に説明できるものではなく、本質は無言のうちに体得されるものとされる。そのため、華やかな言葉に頼る者ほど道から遠ざかり、誠実で無口な者ほど道に近い。この逆説的な論理は、老子の思想全体に通底する「無為」や「柔弱」の価値観とも一致する。
現代でも、誇張や美辞麗句に満ちた言説に惑わされる危険は多く存在する。とりわけ政治や広告、SNSなどの領域では、見た目の印象が中身を凌駕することもある。老子のこの言葉は、飾らない言葉の中にこそ信頼と真実が宿るという普遍的な教訓を、静かに私たちに語りかけている。
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