「自由と平等が、ある人々の考えるように、主に民主政に見出されるものであるならば、それらはすべての人が最大限に統治に参加することで最もよく達成されるであろう」

• 紀元前384年～紀元前322年
• 古代ギリシャのマケドニア出身
• 哲学者、科学者、学園「リュケイオン」設立者

英文

“If liberty and equality, as is thought by some, are chiefly to be found in democracy, they will be best attained when all persons alike share in government to the utmost.”

日本語訳

「自由と平等が、ある人々の考えるように、主に民主政に見出されるものであるならば、それらはすべての人が最大限に統治に参加することで最もよく達成されるであろう」

解説

この名言はアリストテレスの『政治学』における民主政の理念とその実現条件を論じた一節であり、自由と平等という価値が制度としてのみならず、実際の市民参加によって初めて具現化するという洞察を示している。彼は民主政を、多数者による支配と定義するが、その中でも特に、統治への参加こそが自由と平等の真の表れであるとした。

ここで言われる「すべての人が統治に参加する」とは、単なる形式的な権利ではなく、実質的な意思決定・議論・責任の共有を伴う能動的関与を意味している。アリストテレスは、統治の場における全市民の参与こそが、社会における自由と平等の具体的表現であると考え、排除や不均衡がその理念を損なうことを警告している。

現代においても、民主主義の健全性は単に選挙制度の有無だけでなく、市民がいかに積極的かつ平等に政治に関与できているかにかかっている。この名言は、政治的自由や平等が制度的保証だけでは不十分であり、実際の市民の参加と責任意識を通じてこそ実現されるという、民主主義の本質的課題を鋭く指摘している。

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