「私たちは、自らの見解と一致する人々だけでなく、より浅薄な見解を述べた人々にも感謝すべきである。というのも、彼らもまた思索の力を私たちの前に展開することによって、何らかの貢献をしているからである」

- 紀元前384年~紀元前322年
- 古代ギリシャのマケドニア出身
- 哲学者、科学者、学園「リュケイオン」設立者
英文
“It is just that we should be grateful, not only to those with whose views we may agree, but also to those who have expressed more superficial views; for these also contributed something, by developing before us the powers of thought.”
日本語訳
「私たちは、自らの見解と一致する人々だけでなく、より浅薄な見解を述べた人々にも感謝すべきである。というのも、彼らもまた思索の力を私たちの前に展開することによって、何らかの貢献をしているからである」
解説
この名言はアリストテレスの知的謙虚さと哲学的感謝の精神を示しており、真理の探求において異なる見解や未熟な意見も貴重な役割を果たすという認識が表されている。彼は自身の哲学体系を築くにあたって、プラトンをはじめとする先人たちの思想を批判的に継承しつつも、その努力や問いかけに対して深い敬意と感謝を持っていた。
ここでの「浅薄な見解」とは、必ずしも無価値であるという意味ではなく、発展途上の、あるいは不完全な思索のかたちを指している。アリストテレスは、そうした見解もまた思考を刺激し、真理に近づくためのきっかけとなると捉えた。つまり、対立する意見や不完全な論証でさえも、思索の道筋の一部として積極的な意味を持つのである。
この名言は現代の学問や社会的対話においても有効な教訓を与える。他者の意見に対して単なる同意や反論ではなく、その意見が思考を促す契機であるという認識を持つことは、健全な議論文化の基礎となる。アリストテレスのこの言葉は、知的成長には多様な視点と謙虚な姿勢が不可欠であるという普遍的な真理を示している。
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