「人間は自らの運命をつくる存在だと言われる。それは部分的には真実である。人は、自らの運命をつくることができる――ただし、それは偉大なる力によって許される範囲においてである」
- 1869年10月2日～1948年1月30日
- イギリス領インド帝国出身
- 弁護士、宗教家、社会活動家、政治指導者
英文
“Man is supposed to be the maker of his destiny. It is only partly true. He can make his destiny, only in so far as he is allowed by the Great Power.”
日本語訳
「人間は自らの運命をつくる存在だと言われる。それは部分的には真実である。人は、自らの運命をつくることができる――ただし、それは偉大なる力によって許される範囲においてである」
解説
この名言は、ガンディーの人間の自由意志と超越的存在との関係についての深い省察を示している。彼は、近代的な「人は自らの運命を切り開く存在である」という考え方を完全には否定しないが、同時に、その自由には限界があり、宇宙的・霊的な力――すなわち「偉大なる力（the Great Power）」の枠内でしか実現されないという謙虚な認識を持っていた。
この思想は、彼の信仰観にも深く根ざしている。ガンディーにとって、神や真理はすべてを超越する存在であり、人間はその中にあって、自由と責任を持ちつつも、限界を自覚すべき存在であった。この「部分的自由」の認識は、彼の非暴力や忍耐の精神にもつながっており、自らの努力を尽くしつつも、結果を摂理に委ねる姿勢が一貫していた。
現代社会では、自律と自己実現が強調されがちだが、この名言はその傾向に対して謙虚さと霊的な次元を取り戻すよう呼びかけている。人間の力では及ばぬ出来事や限界に直面したとき、自分の役割とそれを超える大きな存在への信頼とのバランスをどう保つかが問われる。ガンディーのこの言葉は、自由と謙虚の共存という深い人間理解を教えてくれる。
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