「もうニクソンを叩くことはできませんよ、諸君。なぜなら、これが私の最後の記者会見だからです」

- 1913年1月9日~1994年4月22日
- アメリカ合衆国出身
- 政治家、弁護士、第37代アメリカ合衆国大統領
- 外交政策において米中関係の正常化やソ連とのデタントを進めたが、ウォーターゲート事件により辞任した初の大統領としても知られている。冷戦期アメリカ政治の象徴的人物である。
英文
“You won’t have Nixon to kick around anymore, because, gentlemen, this is my last press conference.”
日本語訳
「もうニクソンを叩くことはできませんよ、諸君。なぜなら、これが私の最後の記者会見だからです」
解説
この言葉は、1962年11月、リチャード・ニクソンがカリフォルニア州知事選で敗北した直後の記者会見で述べた、歴史的に有名な一言である。当時、彼はメディアによる一貫した批判や不公平な報道に対する強い不満を抱いており、この発言には怒り、失望、皮肉、そして一種の諦念が込められていた。ニクソンはこの場で政界引退を示唆し、自らの政治生命の終わりを印象づけようとした。
特に注目すべきは、「kick around(踏みにじる、叩く)」という口語的かつ攻撃的な表現である。これは、自分がメディアや世論にとって都合のよいスケープゴートにされてきたという被害意識と対決姿勢の現れであり、同時に、報道機関との長年にわたる緊張関係を象徴する言葉でもある。
皮肉なことに、この発言の数年後、ニクソンは1968年の大統領選で政界に復帰し、最終的に大統領となる。この言葉はその意味で、一時的な敗北の記録であると同時に、復活劇の序章でもあった。ニクソンのこの名言は、政治家の感情の露呈とメディアとの攻防、そしてドラマチックな再起というアメリカ政治史の一幕として、今なお語り継がれる発言である。
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