「苦しむのは牛であり、不平を言うのは荷車である」
- 1802年2月26日~1885年5月22日
- フランス出身
- 作家、詩人、劇作家
- 『レ・ミゼラブル』『ノートル=ダム・ド・パリ』などの小説や詩を執筆し、フランス・ロマン主義文学を代表する存在であり、世界的な影響を与えた
英文
“The ox suffers, the cart complains.”
日本語訳
「苦しむのは牛であり、不平を言うのは荷車である」
解説
この名言は、実際に苦労や重荷を背負っている者が黙って耐えている一方で、その恩恵を受けている側が不平不満を言う状況を風刺している。 ヴィクトル・ユゴーは、耐え忍ぶ者の辛さが見過ごされ、その恩恵を受ける側があたかも被害者であるかのようにふるまう矛盾を鋭く指摘している。ここで「牛」は重い荷物を引いて働くものの象徴であり、実際の苦労を引き受けている存在だが、それについて文句を言わない。それに対して「荷車」は運ばれるだけの立場でありながら、不満を口にする象徴として描かれている。
この言葉は、日常生活や社会の中で本当に苦労している人々が見えにくくなり、逆にそれに依存する立場の人々が自分の不満を強調するという社会的な構図を浮き彫りにしている。 たとえば、労働者が黙々と働いている一方で、経営者や組織が抱える問題について大声で訴えるような場面や、社会で貢献している人々が見過ごされがちな状況において、この言葉は風刺として響く。また、家庭や職場においても、地道な努力をしている人が静かにその責任を果たしている反面、目立つ立場の人が状況に対して文句を言うことがある。
この名言は、現代においても共感を呼ぶものであり、特に自己犠牲や忍耐に対する認識と感謝の大切さを再認識させる。 たとえば、社会を支える労働者や医療従事者、家庭で見えない努力をする人々のように、表には出ないが重要な役割を果たしている人々が正当に評価されるべきだという考え方につながる。ユゴーの言葉は、声の大きい不満の裏にある本当の苦労に目を向ける必要性を示唆し、私たちが他者の忍耐や努力に感謝することの意義を教えてくれるものである。
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