「私は願う――生まれたばかりのうちに粉砕されんことを。政府に力比べを挑み、国家の法律を公然と無視しようとする、金力を持つ企業の新たな貴族階級を」

トーマス・ジェファーソン(画像はイメージです)
トーマス・ジェファーソン(画像はイメージです)
  • 1743年4月13日~1826年7月4日(83歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治家、思想家、第3代アメリカ合衆国大統領

英文

”I hope we shall crush in its birth the aristocracy of our monied corporations which dare already to challenge our government to a trial by strength, and bid defiance to the laws of our country.”

日本語訳

「私は願う――生まれたばかりのうちに粉砕されんことを。政府に力比べを挑み、国家の法律を公然と無視しようとする、金力を持つ企業の新たな貴族階級を」

解説

この言葉は、経済的権力が政治を脅かすことへのジェファーソンの強い警戒と、企業権力への根源的な不信を示している。彼は、富を蓄積した企業が政府に対抗し、法を軽視するようになることを「新たな貴族制」とみなし、その芽を摘むべきだと訴えた

背景には、共和主義の理念と市民の平等を守ろうとする信念がある。ジェファーソンは、富が集中することで特権的な階層が生まれ、それが旧来の貴族制度と同様に社会的支配を行うようになることを恐れた。特に銀行や大規模企業の影響力が拡大することに対しては一貫して批判的であり、経済的な力が法の支配と民主主義を侵食する危険を訴えていた

この名言は、現代における多国籍企業の政治ロビー活動、巨大テック企業の規制逃れ、資本の偏在がもたらす民主主義の形骸化といった問題に対しても鋭く響く。経済の自由は保障されるべきだが、それが公権力を超えて暴走するなら、もはや民主国家の支配構造そのものが脅かされる。ジェファーソンの警句は、資本の力に対する市民と国家の責任を厳しく問う、現代にも通じる重い警告である。

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