「心が引き出す区別は、必ずしも現実の区別と等しいわけではない」

トマス・アクィナス
トマス・アクィナスの名言
  • 1225年頃~1274年3月7日
  • シチリア王国(イタリア)出身
  • 神学者、哲学者
  • スコラ学の代表的存在であり、代表作『神学大全』を通じて、カトリック教会の教義と理性の関係を体系化した

英文

“Distinctions drawn by the mind are not necessarily equivalent to distinctions in reality.”

日本語訳

「心が引き出す区別は、必ずしも現実の区別と等しいわけではない」

解説

この言葉は、アクィナスが心と現実の関係について考察したものである。彼は、人間の心が行う概念的な区別や分類が、実際の現実世界のあり方とは一致しない場合があると指摘している。この洞察は、私たちが持つ思考や判断が、必ずしも現実を正確に反映するものではないという謙虚な姿勢を促している。

現代の認知心理学や哲学においても、この考え方は重要視されている。私たちが物事を判断したり、区別したりする際には、先入観や偏見が影響することがあるため、現実と異なる認識を持つ可能性がある。たとえば、ある人の性格を決めつけたり、出来事の因果関係を誤解することが、現実とは異なる認識を生む原因となり得る。

この言葉は、日常生活においても応用できる。たとえば、他者の行動や状況を解釈する際に、自分の心が作り出した見方が影響していないかを冷静に考えることが大切である。自己の視点が唯一の真実ではないことを認識することで、より柔軟で公正な判断ができるようになり、他者理解が深まるとともに、誤解による対立を避ける助けとなる。

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