「価値あるのは生きることそのものではなく、善く生きることである」

- 紀元前470年頃~紀元前399年
- 古代ギリシャのアテナイ(アテネ)出身
- 哲学者
英文
“Not life, but good life, is to be chiefly valued.”
日本語訳
「価値あるのは生きることそのものではなく、善く生きることである」
解説
この名言は、ソクラテスの倫理哲学の中核である「善く生きること(a good life)」の思想を端的に表した言葉である。彼にとって、生命そのものは手段であり目的ではない。ただ生き延びることに価値があるのではなく、徳をもって正しく生きることこそが人間にとって本当の意味で価値があるという立場を貫いた。
この言葉は、ソクラテスが不正な裁判で死刑を宣告された際の『クリトン』の対話で特に強調される。友人たちが彼に脱獄を勧めたとき、ソクラテスは「不正をもって命を延ばすよりも、正義をもって死ぬことの方が善である」と主張した。これは、徳(アレテー)を人間の最高の価値と見なし、外的な成功や生存をそれに従属させた思想を表している。
現代においてもこの名言は、自己中心的な功利主義や物質主義への警鐘として意味を持つ。経済的な豊かさや長寿といった目に見える成果ばかりを追い求める風潮の中で、倫理的な生き方、誠実さ、他者への配慮といった価値を再確認させる。この言葉は、何をもって「良い人生」とするかを深く問い直すための哲学的指針となっている。
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