「大切なのは、自分の貢献の価値を判断するために必要なあらゆる情報を他者に与えることであり、特定の方向へと判断を導く情報だけを与えるのではない」

- 1918年5月11日~1988年2月15日(69歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 理論物理学者
英文
”The idea is to try to give all the information to help others to judge the value of your contribution; not just the information that leads to judgment in one particular direction or another.”
日本語訳
「大切なのは、自分の貢献の価値を判断するために必要なあらゆる情報を他者に与えることであり、特定の方向へと判断を導く情報だけを与えるのではない」
解説
この言葉は、科学的誠実さと透明性の重要性を示している。ファインマンは研究において、自分の成果を誇張したり都合のよい部分だけを示すのではなく、成功も失敗も含めて全ての情報を提示するべきだと強調している。そうすることで初めて、他者が正しく評価できる環境が整うのである。
この考え方は、彼がノーベル賞受賞講演や「カーゴカルト・サイエンス」の講義で繰り返し述べた姿勢と一致する。「科学は正直でなければならない」という信念は、20世紀の科学研究における不正や恣意的な報告への警鐘でもあった。科学の進歩は個人の栄誉よりも、共同体全体の知の積み重ねによって成し遂げられるという視点がここにある。
現代社会でもこの言葉は有効である。研究だけでなく、ビジネスや政治、さらには日常的なコミュニケーションにおいても、情報の選択的提示は誤解や不信を生みやすい。全体像を示す姿勢こそが信頼を築き、真に価値ある貢献へとつながる。ファインマンの言葉は、情報化時代における誠実な態度を考えるうえでも普遍的な指針となっている。
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