「感情がもはや顧みられない技術の世界の厳しさの中で、救いをもたらす愛への希望が育っている。それは無償で、惜しみなく与えられる愛である」

- 1927年4月16日~2022年12月31日(95歳没)
- ドイツ出身
- ローマ教皇(在位2005年~2013年)、神学者、枢機卿
英文
”In the harshness of the world of technology – in which feelings do not count anymore – the hope for a saving love grows, a love which would be given freely and generously.”
日本語訳
「感情がもはや顧みられない技術の世界の厳しさの中で、救いをもたらす愛への希望が育っている。それは無償で、惜しみなく与えられる愛である」
解説
この言葉は、技術社会における人間性の喪失と、それに対抗する愛の必要性を示している。ベネディクト16世は、科学技術の発展が人間生活を便利にする一方で、感情や人間的な絆を軽視する風潮を生み出すことを懸念していた。冷徹な効率や計算に支配される世界の中で、人々はますます「無償の愛」への渇望を深めているのである。
「a saving love」という表現は、人間を孤独や機械的思考から救い出す力を持つ愛を意味する。これはキリスト教神学における神の愛の反映であり、計算や取引を超えた贈与としての愛である。現代社会では物質的豊かさが拡大しても、愛の欠如が精神的荒廃をもたらしていることを踏まえ、この言葉は深い警鐘となる。
現代的に応用すれば、この言葉は人間中心の技術利用と倫理的配慮の必要性を示唆している。AIやデジタル化が進む時代においてこそ、相互の思いやりや無償の愛が社会を支える基盤となる。ベネディクト16世は、技術の冷たさの中にこそ、愛が人間存在の根源的救いであることを示し、その実現を希望として語っているのである。
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