「私はもはや教会を治める権能を職務として振るうことはない。しかし祈りの奉仕において、いわば聖ペトロの領域の中に留まり続ける。教皇として私がその名を担った聖ベネディクトは、この点で私にとって大いなる模範である。彼は、能動的であれ受動的であれ、神の業に全く属する生き方を私たちに示した」

教皇ベネディクト16世(画像はイメージです)
教皇ベネディクト16世(画像はイメージです)
  • 1927年4月16日~2022年12月31日(95歳没)
  • ドイツ出身
  • ローマ教皇(在位2005年~2013年)、神学者、枢機卿

英文

”I no longer wield the power of the office for the government of the church, but in the service of prayer I remain, so to speak, within St. Peter’s bounds. St. Benedict, whose name I bear as pope, shall be a great example in this for me. He showed us the way to a life which, active or passive, belongs wholly to the work of God.”

日本語訳

「私はもはや教会を治める権能を職務として振るうことはない。しかし祈りの奉仕において、いわば聖ペトロの領域の中に留まり続ける。教皇として私がその名を担った聖ベネディクトは、この点で私にとって大いなる模範である。彼は、能動的であれ受動的であれ、神の業に全く属する生き方を私たちに示した」

解説

この言葉は、ベネディクト16世が教皇職を辞任した際の心境と信仰的姿勢をよく表している。彼は行政的権力の行使から退いた後も、教会を支える祈りの奉仕に自らの役割を見出した。ここで「St. Peter’s bounds」という表現は、ローマ司教としての精神的責任を辞任後も果たし続ける意志を示している。

また、彼が自らの名の由来とした聖ベネディクトを引き合いに出している点も重要である。聖ベネディクトは修道生活を通じて、神に完全に捧げられた生き方を示した人物であった。ベネディクト16世は、この模範に倣い、自身も能動的な働きと沈黙の祈りの両面を通じて神に仕える姿勢を貫こうとしたのである。

現代においてこの言葉は、権力や役職を退いた後における人間の在り方を考える示唆を与える。社会的責任や役割を離れても、人は祈りや奉仕、精神的貢献を通じて共同体に仕え続けることができる。ベネディクト16世の言葉は、人生の晩年における信仰と奉仕の意義を示す普遍的な証言となっている。

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